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2011.11.29

渡邊 哲史

【世界の知財プロに聞く】 第14回 NGUYEN VAN HAI 氏 (ベトナム弁理士)

第14回ゲストはベトナム弁理士NGYUYEN VAN HAI 氏。NGYUYEN VAN HAI 氏はハノイ工科大学で学士号(工業化学)取得後、オーストラリアのアデレード大学で修士号(工業化学)を取得したインターナショナルなベトナム紳士。今回は日本の特許制度の研修のために来日したとのこと。ベトナムの知財事情に関してお話を伺いました。

※NGYUYEN VAN HAI氏はINVESTIP 所属

Q1.ご出身はどちらですか?
北ベトナムの小都市ハロン市出身です。ハロン市は首都ハノイから北東180キロに位置しており、ハロン湾がとても有名です。海から立ち上がる数千もの石灰岩の小島が観光客を魅了しています。1994年にはユネスコ世界遺産にも指定されました。

Q2.知財業界に入られた理由を教えてください。
学生の頃から知的財産はベトナム発展に重要であると認識していました。知財に対する意識を高めることにより、製造業者は自身の知財保護に注意を払うようになり、そのことが製造業者に投資資金回収だけでなくR&D活動への再投資を促し、このサイクルの繰り返しがベトナムの科学技術の発展につながると考えていました。 少しでもベトナムの科学技術の発展に貢献したいと思い知財業界で働き始めました。

Q3.ベトナムにおける知財に対する意識について教えて下さい。
ベトナムの民間企業における知財意識は高まっています。2006年7月1日に知的財産法が施行され徐々に意識に変化が生じているように思います。実際ベトナム特許庁に出願される特許、意匠、商標の出願数は年々増加しており、ベトナムの特許事務所数も2006年には40事務所だったのに対して、2011年中頃には約3倍の129事務所までに増加しています。各特許事務所がそのマーケットシェア拡大のために行うマーケティング活動も、更に産業界における知財に対する意識は高まっていく要因になると思います。

Q4.ベトナム企業の現状を教えて下さい。
ベトナム企業は製品の市場投入時、一般的には特許、商標を利用しますが、特に利用される権利は商標です。実際ベトナムに出願される商標出願数は特許出願数の10倍程です。特許はベトナム企業の製品開発に重要な権利ですが、先進的な技術そして経験豊かな開発陣を有する企業だけが特許取得に取り組むことが出来きているようです。従ってベトナムの中小企業の多くは商標にのみ関心を払っているのが現状です。尚知財分野の人的資源が限られているため、ベトナム企業は一般的に特許事務所に知財業務をアウトソーシングしており、知財部を持つ企業は非常に限られています。

一方日欧米のグローバル企業はベトナムでの権利取得に積極的で、商標だけでなく特許も参入障壁として利用しているように見えます。

余談になりますが、鉱物発掘、食料加工、建築資材業がベトナムで勢いのある産業になります。特に勢いのあるのは、近年のベトナムにおける数多くの建築プロジェクトにより需要が見込まれている建築資材業であると思います

Q5.ベトナムにおける知財関連訴訟数等の現状を教えて下さい
ベトナムにおける知財関連訴訟数はベトナム特許庁(NOIP)、科学技術省(MOST)傘下の検査局、ベトナム知的財産研究所(VIPRI)により記録されていますが、そのデータは秘密とされているものもあり、特許、意匠、商標の数をそれぞれ正確に見積もるのは困難です。ただ特許訴訟数に関しては以下の侵害訴訟、無効審判に関するデータがあります。このデータからは特許訴訟数がそれほど多くないことが分かります。2003年から2005年3年間に特許侵害訴訟の数が他の年と比較して多くあります。この時期の訴訟の多くはオートバイ産業の特許に関するものです。2003年から2006年のオートバイ市場の急速な発展がその理由かもしれません。また2006年以降の訴訟数がそれほど多くないのは知的財産法施行の影響かもしれません。

尚ベトナムにおける知財訴訟の法体系は、政府発行の政令が数多く制定されており徐々に改善されてきております。

Q6.ベトナムにおける知財教育の現状を教えて下さい
大学において知財教育コースは一般的ではありません。ハノイの人文社会学大学(College of Social Sciences and Humanities)に、学生に知財を紹介する科目がある程度で実務的なものはまだありません。弁理士および知財実務家の多くは特許事務所、特許庁においてトレーニングを受けます。将来有名大学のいくつかが知財実務教育を行うことが期待されていますが、ベトナムの文部省はまだなんのプランも公表していないのが実情です。

Q7.ベトナムの弁理士試験を教えて下さい
大学卒業後、知財分野において少なくとも5年の実務経験有するか特許庁による知財教育コースを修了した証明書を取得し、特許庁主催の知財実務試験に合格する必要があります。

Q8.最近のベトナムの知財ニュースを教えて下さい。
2011年8月12日、INTA(国際商標協会)の専門家ジョージ チャン氏がベトナム特許庁長官そして職員と面会しました。INTAの商標審査ガイドライン、出願前調査、出願準備、形式審査、実態審査、審判請求の法的側面、そして多くの先進国において保護される新しい商標のタイプ(音商標、匂い商標等)に関してプレゼンテーションを行いました。

Q9. 最後に読者の皆様に一言メッセージを
私は国内外のクライアントを訪問するのを楽しみにしており、また私たちのオフィスにクライアントをお招きするのも楽しみにしています。今後とも皆様とより良い相互関係を築いていきたいと思います。

(記事担当:特許部 渡邊)

ベトナムにおける特許侵害訴訟数、特許無効審判数の推移

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