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2012.09.20

【中国代理人訪問レポート2012】 意匠制度の理解を深めるために

NGB特許部では、今年7月から8月にかけて北京及び上海の8事務所に部員を派遣し、中国意匠プラクティスに関する調査・情報収集を行いました。本プロジェクトにおいて北京を訪問した主要メンバーの一人に感想を聞いてみましたのでご報告させていただきます。
増位部員の感想
中国意匠(外観設計専利)は世界でも圧倒的に突出した出願・登録件数を誇っており、その上、増加傾向にあります(2012年上半期の出願件数28.3万件、前年同期比32.9%増)。外国意匠出願仲介の担当者としても、年々お客様の注目度が高まっていることを感じています。

しかしながら、中国意匠制度は例えば部分意匠制度がない、基本-類似意匠制度がある、出願時に意匠の簡単な説明が必須といったように、日本意匠制度とは大きく異なっています。このため日本の実務家を戸惑わせることも少なくないのが現状であると思います。

そこで私達は、実務を通じて生じる様々な疑問点をクリアーにするため、北京の6事務所を3日間で訪問し、66のトピックに関して1事務所あたり2~3時間、face-to-faceで議論しました。具体的には、線図・CG・写真のメリットとデメリット、物品のR形状の表現方法、意匠の簡単な説明の記載方法、類似意匠制度、技術評価書、主要判例等々に関して議論を行いました。

我々の訪問を快く受け入れて頂いた代理人事務所には、この場を借りて深く感謝の意を表したいと思います。実務的な(異常な程にマニアックな)内容、かつ膨大な量のトピックに対して、非常に丁寧に調査・回答して頂きました。おかげで、有益な議論ができ実務的にも有用な情報を得ることができました。私は、『日本の出願人様の気持ち』を代弁するつもりでミーティングに臨んだのですが、終了後には、先方からも『実に良い機会だった、有益な議論だった。』と言って頂き非常に嬉しかったです。

また複数の事務所を訪問したことによっても良い結果が得られました。つまり、同じトピックに対して、事務所間で見解が一致することもあれば、相違することもありました。相違するといっても、何れかが間違っていて何れかが正しいというわけではなく、何かのテレビ番組で4人の弁護士が同じ問題に対して違う答えを出すようなものです。トピックが非常に専門的だった(あまりにもマニアックだった)のでしょう。受け取る側としては、様々な見解に基づいて総合的に判断することができました。

今回の出張を通じて、やはりface-to-faceのやり取りが重要だということを再認識しました。書面や電話だけのやり取りでは恐らく得られなかったような情報も得ることができました。得られた情報は社内共有はもとより、中国意匠に関心の強いお客様にフィードバックさせて頂きたいと考えています。

最後に、訪中の直前に中国語会話の社内講習に1時間だけ参加し、最低限の挨拶だけ教わったところ、これが中国でウケました。やはり言葉は大切ですね。一つテクニックをご紹介。中国人同士が中国語で会話しているときに、適当にうなずきながら早口で『トゥエトゥエ(対対; 日本語で「そうそう」の意)』と言うと、かなりの確率で笑いがとれます(こちらが全く中国語を喋れないことを相手が知っていることが前提です)。是非試してみて下さい。

NGB特許部は新興国知財情報の収集に尽力しております。新興国での権利取得をご検討のお客様はNGBに是非お問い合わせ下さい。

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(記事担当 特許部 渡邊)

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