IP NEWS知財ニュース

  • 知財情報
  • アーカイブ

2012.12.19

5分で分かる新特許分類: 欧米共同特許分類 (CPC: Cooperative Patent Classification)

2013年1月より欧州特許庁(EPO)と米国特許商標庁(USPTO)による新しい特許分類(CPC: Cooperative Patent Classification)の運用が開始されます。本稿ではCPC website (*1)でアナウンスされている内容等をもとに新分類CPCの概略についてお知らせいたします。
背景
IPCの約7万分類では大規模特許庁のニーズに対して不十分であることから、これまで各庁は独自分類で対応していました(EPOのECLA、USPTOのUSPC、JPOのFI)。しかし、これでは調査を行う時に国毎にそれぞれの分類を検討しなければならず、作業の重複が発生し効率的な調査の妨げとなっていました。
このため、まずECLA、USPC、およびFIをIPCへ調和させる3極(日米欧)協調プロジェクトが始動し(2000年~)、その後、5極(日米欧中韓)へ拡大し(2008年~)、5極共通ハイブリッド分類(CHC)(*2)の作成に向けて検討が重ねられてきました。
しかし、より早いグローバルな分類スキームの導入が必要とされていることから、まず、EPOとUSPTOの2極で共同分類(CPC)の準備が開始され(2010/10~)、2013年から運用されることになりました。なお、将来的にはCPCと日本の独自分類であるFIを統合したIPCを整備することも検討されています(*3)。

CPCの表記等
CPCは基本的にECLA(*4)をベースに作成されており、表記もIPCに似たものとなっています。(例:H01L21/02754。ECLAのスラッシュ(/)以降が最大6桁の数字のみでアルファベットは使われない。)
その他、以下の特徴があります。
・過去に発行された特許(EP、US)についても遡ってCPCが付与される
・発明情報と付加情報の表記方法はIPCと同じ
・G06Q(ビジネス方法)はUSPC705を組込んだ形となる(ECLA/IPCの50分類に対し、約375の分類となる)
・ECLAとICO(In-Computer-Only)はその階層構造のままでCPCに含まれる

具体的なCPC分類、および定義の一部はCPC websiteにて公開されています。
・分類および定義(*6)
・ECLA-CPC-IPC コンコーダンス(*7)

EP特許へのCPC付与
・2013年より付与開始

US特許へのCPC付与
・2013~2014年:移行期間(2014末までUSPCも併用される)
・US公開特許には、USPCとCPCの両方が付与される
・US登録特許には、USPCのみ、又はUSPCとCPCの両方が付与される

EPO-USPTO間の分類付与を調和させるためプロセス
・2013~201X年:USPに対し、EPOとUSPTOが並行して付与
・201X年~  :EPOのUSPに対する付与を停止

その他
・2012年12月初めにEspacenetのECLA検索がCPC検索へ移行する予定(2012.12.12現在、まだ移行されていない)
・2013年4月以降、随時CPCが改訂される予定
・米国植物特許および米国デザイン特許については2013年以降もUSPCが使われる
・IPCの付与は継続される(EPO, USPTO)

今のところ、日本特許の分類検索には直接影響はありません。また、EP特許、US特許共にIPCの付与は継続されるのでIPCのみを用いる分類検索については今までと同様に実施可能です。
今までECLAを用いた検索を行っていた場合には、2013年よりCPCへ移行するEP特許、およびDOCDBを収録したデータベースで分類検索する場合には新分類の確認が必要となります。US特許については、USPCからCPCへ2年間の移行期間があるものの、今後の動向を注視すべきでしょう。特に、ECLAやUSPCを用いたウォッチング調査を実施している場合には注意が必要です。

(*1)CPC website
http://www.cooperativepatentclassification.org
(*2)Five IP Offices: CHC(Common Hybrid Classification)
http://www.fiveipoffices.org/projects/commonhyb.html
(*3)WIPO:Combined CPC/FI Introduction into the IPC
http://www.oapi.wipo.net/meetings/en/doc_details.jsp?doc_id=155497
(*4)EPO:European Classification System (ECLA)
http://www.epo.org/searching/essentials/classification/ecla.html
(*5)The Future of ICOs in the CPC(PDF)
http://documents.epo.org/projects/babylon/eponot.nsf/0/F47BCD2497989AA9C12579260053C130/$File/g_classification_ico_codes_cpc_held_en.pdf
(*6)CPC Scheme and Definitions
http://www.cooperativepatentclassification.org/deliverables/cpcSchemeAndDefinitions/table.html
(*7)CPC Concordances
http://www.cooperativepatentclassification.org/deliverables/cpcConcordances.html
・JETROデュッセルドルフ事務所:欧州特許庁,協力特許分類「CPC」の概要を公表
http://www.jetro.go.jp/world/europe/ip/pdf/20121001.pdf
・EPO:The CPC and patent information high up on the agenda
http://www.epo.org/news-issues/news/2012/20121005.html
・USPTO:Second USPTO Cooperative Patent Classification (CPC) External User Day
http://www.uspto.gov/patents/init_events/cpc_external_user_day.jsp

(IP総研 主任研究員 呰信隆)

出典: EPO: The Future of ICOs in the CPC (*5)

関連記事

お役立ち資料
メールマガジン