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2014.11.25

中国特許調査会社立ち上げと現地スタッフへのトレーニング後篇: トレーニング実践篇 [1]

日本技術貿易株式会社は、近年出願件数が急増している中国特許公報を原文で調査を行いたいという国内クライアントのニーズに応えるべく、2011年に中国広州市に専属の特許調査会社を立ち上げました。本稿では、現地調査会社へのトレーニングと当社中国特許調査サービスについて紹介させて頂きます。

トレーニングの主な内容は、以下の3つの項目です。
(1) 技術
(2) データベース
(3) 検索式作成

(1) 技術
特許調査の前提として、調査対象技術の理解が重要です(これは中国特許に限った話ではないですね。)。後述するように、検索式には中国語キーワードを使用しますが、技術を正確に理解していないと、必要なキーワードを選定することができないうえ、特許公報の内容を正確に読みとることができません。中国は特許も実用新案も出願件数が近年急増しており、検索式で技術内容と関連性の低いキーワードを使用すると、ノイズが多くなってしまいます。このため、検索式で技術内容に適したキーワードを選定することによって調査対象件数を絞り込むことが重要ですし、そのためには正しい技術理解が必要となるわけです。

IP総研では、技術内容の説明のため、現地調査会社に英文レターによる説明、ならびに、必要に応じて電話会議を行っております。しかし、技術分野やその難度によって、レターや電話会議だけでは中国調査会社のスタッフに十分に当該技術を伝えることが困難な場合があります。このため、過去には、IP総研のスタッフが現地の調査会社に出向き、技術内容を実際にレクチャーしたこともあります。一例として、自動車の制動装置の機構に関する調査では、現地スタッフとともに、同様の製品を実際に分解して基本的な構造からレクチャーを行いました。

(図1:現地調査スタッフと技術内容の確認を行っている風景)

余談ですが、技術用語や製品を調べる際には我々も Google などの検索エンジンを利用しています。ご存知のように Google は中国市場から撤退しているため、現地では百度(baidu 参考:http://www.baidu.com/)という検索エンジンが広く使用されています。現地スタッフも、このような検索エンジンを技術理解をするためのツールとして頻繁に利用しているようです。

(2) データベース
中国特許調査で主に使用するデータベースは、CNIPRです。CNIPRは、中国語のキーワードを用いて検索を行うことができるシステムで、日本特許庁の特許電子図書館(IPDL)のような存在です。IP総研は、CNIPRの特性と、その検索手法を検討し、中国語キーワードを用いて母集合を作り、中国語の原語で調査を行うために必要となるノウハウを、現地スタッフにレクチャーしてきました。

ここで、「中国語で検索及び調査を行う意義」について、少し説明を補足させて頂きます。現在、日本国内で中国特許調査に使用するデータベースとしては、主に以下に示す、(A)独自の英文抄録を収録したタイプのデータベースと、(B)機械翻訳による英文を収録したタイプのデータベースがあります。

(表1 中国特許調査に使用するデータベースと比較)

両タイプのデータベースに共通していることですが、検索に英文キーワードを使用できるため、中国語がわからなくても、「簡易的に」公報の検索ができます。しかし、中国語と英語の言語間の“ゆらぎ”を想定することは非常に困難であり、英語キーワードの選択の仕方によっては関連性の高い特許公報が調査母集合に含まれない、いわゆる「漏れ」が生じる可能性があります。また、近年、中国では特許訴訟件数が増大しており、中国公報原文の内容を精査することの重要性が高くなっております。英文抄録や機械翻訳を用いた調査だけでは、精度の高い調査を行うことは困難です。

このような事情を鑑みて、精度の高い中国調査には、(1)原語である中国語キーワードを選定して特許検索を行うことと、(2)実際にヒットした中国特許公報を原文で読み込むこと、が今後ますます重要になると考えております。

(IP総研 水谷/呉)

=> トレーニング実践篇 [2]

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