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2016.03.25
中国弁護士・中国弁理士・日本国弁理士
張 華威
一、概要
2016年3月22日、最高人民法院は、「最高人民法院による専利権侵害紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(二)」(以下、「本司法解釈」という)を発表した。
その背景として、2009年12月に、最高人民法院は、訴訟における専利法の正しい適用と解釈を図るため、「最高人民法院による専利権侵害紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」を公布し、当該司法解釈は特許権者の利益の保護や科学技術の奨励において重要な役割を果たしてきた。その後の五年間にわたって、専利侵害訴訟の件数が増加し、北京、上海、広州にそれぞれ専門性の高い案件を集中的に審理するための知的財産法院が設立され、更に統一した専利法の解釈適用や法律規定の具体化を図るための裁判基準の要請が高まっていた。また、専利侵害訴訟において、「周期が長い」、「立証が難しい」、「損害賠償が低い」という問題が顕在化していた。
そこで、最高人民法院は、2014年から本司法解釈の制定作業を本格的に開始し、学者、弁護士、弁理士、企業、各業界協会の意見を聞き入れ、最高人民法院のHPによるパブリックコメントの募集を行い、十六回にもわたる調整を経て、最終的に最高人民法院審判委員会の審議により本司法解釈を確立した。
二、出典及び実施時期
出典:最高人民法院公式HP(http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-18482.html)
実施時期:本司法解釈は、2016年4月1日から施行され、本司法解釈と最高人民法院が以前に公布した司法解釈が一致しないときは、本解釈を基準とする(第31条)。
三、主な内容
本司法解釈は、合計31条から構成され、主にクレームの解釈、間接侵害、規格実施による抗弁、善意侵害者の抗弁、差止請求、損害額の計算、専利の無効審判が侵害訴訟にもたらす影響など、実務上重要且つ困難と思われる問題に関するものである。
以下、本司法解釈の重要と思われる条項を一部抜粋して詳しく紹介する。
(以下、全文は文末のPDFファイルをダウンロードしてご参照下さい)
※2016年3月28日、PDFファイルに若干の修正を加えました。