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2016.11.21

【中国視察2016】 [3] 知財権司法鑑定センター

NGBは、日本企業様10社のご参加を得て、9月18日 (日) – 23日 (金) の日程にて中国視察ツアーを催行した。 本稿では、視察先の一つである北京京洲科技知的財産権司法鑑定センターの訪問記録をご紹介する。

中国における司法鑑定制度は日本においては馴染みは薄いが、中国での訴訟・係争事件においては司法鑑定機関の活用は重要であるとの情報を得て、当鑑定センターへの訪問を初のイベントとした。司法鑑定人の王凱師副主任他、2名の鑑定人他のスタッフが我々視察団の訪問を温かく迎えいれてくれた。視察団の歓迎挨拶の後に、まずは同センターの組織について王副主任より説明を受ける。

■組織と業務範囲について
本センターには、北京の司法局で認定された約100人の鑑定人が在籍しています。中国国内ではこのような鑑定センターが20ヶ所ほどあり、北京では7ヶ所程度あるようです。通常の鑑定センターでは限られたジャンルのみの受け入れとなりますが、本センターでは、特許、商業秘密、著作権、商標、技術契約に関わる鑑定人を揃えて、広範囲な技術分野の受け入れ体制が整っている点が特徴的です。鑑定人は各分野のベテランで、中には技術者や研究者で教授をしている方もおります。実務面でも学術面でも非常に優れた人材が揃っています。CIPOを筆頭に知財に関わる機関との良好な関係が築かれており、コネクションが深い点も本センターの強みです。業務の範囲としては特許や営業秘密に関わる鑑定案件の取り扱いが6割以上を占め、その他は著作権、商標、契約に関わる鑑定案件となります。著作権の中にはソフトウエアのプログラムコードに関わる案件が含まれています。以上、簡単な本センターのご説明でした。

■Q&A

Q.司法鑑定所で作成される鑑定書と事務所の鑑定書に違いはあるか。
A.鑑定センターで作成された侵害鑑定書は裁判所に提出した際には証拠として取り扱われます。普通の事務所の鑑定書は参考資料となり、証拠の位置づけではありません。本センターで取り扱う鑑定には2種類ありまして、司法鑑定と普通の鑑定があります。司法鑑定は裁判所か公安局か検察院が依頼するもので、訴訟で当事者がある技術について争いがあってどちらが本当なのかわからない場合、裁判所がこちらのセンターに依頼したものを司法鑑定と呼びます。裁判が始まる前に事前に鑑定をとっておきたい場合は事務所を通じてでもよいですし、みずから(当事者)が依頼する形でもよいです。司法鑑定は裁判所が依頼するものでありますが、どの鑑定所に依頼するかについては当事者間で協議して欲しいといわれることが多いです。もし当事者間で決まらない場合は裁判所が指定をします。

Q.鑑定センターは複数あるが、複数の鑑定結果が出できた場合はどのように取り扱われるのか。
A.鑑定事項が異なる場合もありますので、結果が異なる場合もあります。あくまでも証拠であるので必ず採用しなければいけないわけではありません。裁判官の裁量で鑑定結果を選択することができます。裁判所が司法鑑定をやってもう一度鑑定をやって司法鑑定をおこなってその結果を参酌する可能性もあります。鑑定人が証人となって裁判の場に立つ場合も増えてきました。

Q.知的財産法院が設立され、裁判所は技術調査官の助言を受けることができるようになった。貴センターへの業務の影響はあるか。
A.技術調査官制度による影響は、確かに出ております。ただし、技術調査官一人ではできないことが多数あります。当センターでは専門家チームにて専門的な鑑定を行うことができますし、鑑定内容によっては繰り返しの実験が必要な場合もありますので、そのような場合には技術調査官一人ではできませんので、本センターの鑑定利用はメリットがあると思います。

■まとめ
今回の同センターへの訪問は、司法鑑定所に関わる情報が少ない中、組織構成や特色を知る上で非常に有意義な情報収集活動となった。時間の制約もあり、鑑定書作成に関わる実務的な情報入手までは掘り下げることはできなかったが、次回訪問の機会があれば、引続き取り上げていきたいテーマであると痛感した。

最後に、業務が多忙な中で、日本語の説明スライドを準備いただくなど、中国視察団を初めて受け入れていただいた同鑑定センターの皆様へは、この場を借りて、感謝の言葉を述べたい。

(営業推進部 山本)

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