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2017.12.20

【中国視察2017】 [5] 深セン税関/皇崗税関

NGBは、クライアント企業様8社(9名)のご参加を得て、9月4日 (月) – 8日 (金) の日程にて中国視察ツアーを催行した。 本稿では、視察先の一つである深セン税関~皇崗税関の訪問記録をご紹介する。

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深圳税関
深圳税関への訪問は前回ツアーに続いて2回目であり、昨年もお世話になった沈紅宇氏(法規処 副処長)をはじめ、計3名の方々に快くご対応頂いた。今年はパワポ資料を投影しての組織紹介もして頂けるなど、MTGに”こなれ感”が増した印象を受けた。

■ 深圳税関について
深圳税関には21の「内設機関」と18の「従属機関」があり、全職員数は6000人近く。昨年は5400名と言っていたので1割ほど増えたことになる。大きな港を抱えているため通関量が多く、知財保護への取組みも全国トップレベル。中国で最も早く知財保護に取組んだ税関のひとつでもあり、1994年に税関総署が知財保護措置の命令を出した際には同じ年の9月に初の取締りを実施し、その翌年、1995年には知財専門部門を設けているとのこと。

■ 税関における知財保護
税関では、税関法と知的財産税関保護条例、ならびに知財諸法に基づいて、専利権・商標権・著作権やオリンピックロゴの保護に努めている。対応としては、職権による保護と権利者からの申請に基づく保護との2パターンがある。職権による保護を求める場合は、税関総署のシステムから権利の登録申請を行う必要があるが、これはウェブサイトを通じて誰でも無料で登録・確認が可能。一方の権利者からの申請による保護は、権利侵害に関する具体的な証明資料が必要となりハードルが高いため、予めの権利登録を勧められた。

この点に関し、NGBから沈副処長にひとつ質問。即ち、昨年の訪問の際、日本企業にもっと税関保護を活用して欲しいとのメッセージを預かった。帰国後にウェブ記事とメールマガジンを通じて8000名の読者にメッセージを伝えたが、その後、登録は増えているか?・・・沈副処長は苦笑しつつも「増えていない」と回答、引続きの協力を求められた。ちなみに、今回のツアーご参席者の中では、2社様がご登録されておいでとのことであった。

皇崗税関
深圳税関の会議室で上記交流を持った後、一同はバスで皇崗税関へ移動した。皇崗税関は、18ある深セン税関の「従属機関」のひとつだが、特に『副庁級』だと公式サイトで説明されている程の重要拠点。今年は「是非とも現場を見たい」との我々のリクエストに応えて訪問を受け入れて頂いた。

建屋の内部は、残念ながら写真撮影・録音ともに禁止。司令塔たる「指導センター」内部の壁面パネルには、香港からの入境道路をはじめ、税関周辺9ヶ所のライブ映像が写し出されて、スタッフがモニタリングを行っている。パネルの一枚に映し出された倉庫のような建物は、最近導入されたばかりの、車の積荷を丸ごと透視する「ドライブスルー」方式のスキャンシステムだ。その際には車両用の重量計も併用する。申告された商品総量をオーバーしている場合、侵害品を余分に積んでいる疑いが濃厚となって検査の対象となるとのことであった。

この度の訪問アレンジにご協力を頂いたBird & Bird LLP 北京オフィスパートナーの道下理恵子弁護士に、この場を借りてお礼を申し上げたい。

(営業推進部 柏原)

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