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2022.01.17

顧問 張華威

【特許・意匠ニュース】中国当局が2021年中国知財関連統計データを発表

2022年1月6日、全国知識産権局長会議がウェブ会議の形式で開催され、国家知識産権局(CNIPA)局長が2021年における統計データを公表した。そして、2022年1月12日、国務院新聞事務室は記者会見を開き、2021年における知的財産関連事務の統計データを報告した。本記事においては、これらの統計データのうち、筆者が特に重要だと判断する部分を紹介する。

・基本データ
特許登録件数 ・・・・・・・・・・・・・・・・69.6万件(対前年比31.3%増)
実用新案登録件数 ・・・・・・・・・・・・312万件(対前年比31.3%増)
意匠登録件数 ・・・・・・・・・・・・・・・・78.6万件(対前年比7.4%増)
外国出願人による特許登録 ・・・・・11万件(対前年比23%増)
PCT国際特許出願件数 ・・・・・・・・・3万件(ほぼ横ばい)
特許復審既済件数 ・・・・・・・・・・・・5.4万件(対前年比12.5%増)
特許無効審判既済件数 ・・・・・・・・0.71万件(ほぼ横ばい)
特許平均審査期間 ・・・・・・・・・・・・18.5か月
商標登録件数 ・・・・・・・・・・・・・・・・773.9万件(対前年比34.3%増)
外国出願人による商標登録 ・・・・19.4万件(対前年比5.2%増)
マドプロ国際商標出願 ・・・・・・・・5928件(対前年比21.5%減)
商標異議申立審理済件数 ・・・・・・16.4万件(対前年比19.7%増)
各種商標審判審理済件数 ・・・・・・38.3万件
商標平均審査機関 ・・・・・・・・・・・・4か月
※一部の対前年比は筆者が2020年の統計データをもとに算出したものである。

・その他の統計
中国国内で有効な特許権を所有する企業は29.8万社に達し、前年と比較して5.2万社も増加した。国内有効特許保有件数は190.8万件に上り、対前年比22.6万件増の高い成長率を記録している。
中国では第4次改正専利法において、欧州のライセンス・オブ・ライト(License of Right)に相当する開放許諾制度が新設された。改正法の施行日である2021年6月1日から声明の受付を開始しているが、実際の運用は専利法実施細則の施行後となる。中国特許庁は2021年に既に24の省にある110の特許権者から608件の開放許諾声明を受け付けており、そのうち特許が572件であり大半を占めた。
2021年において、悪意による特許、商標出願に対する取り締まりにおいて顕著な実績があった。81.5万件の非正常出願が出願人に通告され、そのうちの97%が取下げられた。また、代理事務所の不正行為を一掃する「快晴アクション」を展開し、非正常出願を代理する9事務所に対して営業許可の取消や一定期間の受任禁止などの重い行政罰を適用した。また、出願の受任件数が在籍弁護士の平均キャパシティの5倍を超える84事務所に対し重点的に調査を行い、特に問題が深刻な29事務所に対して行政処罰を適用した。商標については、悪意による商標出願48.2万件を摘発し、そのうち1,111件の悪意による抜け駆け出願が迅速的に拒絶され、1,635件の商標権に対し職権による無効審判が発動された。
中国政府は昨年「知的財産強国建設綱要(2021-2035)」及び「一四五国家知財保護及び運用計画」を発表し、国を挙げて知的財産の大幅に強化する方針を打ち出した(こちらの記事を参照)。上記計画によれば、2025年までに人口1万人当たりの高価値特許保有数12件、知的財産質権融資登録金額3200億元等の目標が含まれている。2020年の時点では、人口1万人当たりの高価値特許保有数6.3件、知的財産質権融資登録金額2180億元であったが、2021年末の統計では高価値特許保有数7.5件、知的財産質権融資登録金額3098億元に上昇し、着実に目標に向かって進んでいることがうかがえる。

以上

参考URL
全国知识产权局局长会议在京召开、2022年1月7日、CNIPA
https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/1/7/art_53_172628.html
国家知识产权局局长申长雨在2022年全国知识产权局局长会议上的工作报告(摘编)、2022年1月7日、CNIPA
https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/1/7/art_53_172646.html
国新办举行2021年知识产权相关工作统计数据发布会、2022年1月12日、国務院
http://www.scio.gov.cn/xwfbh/xwbfbh/wqfbh/47673/47698/index.htm

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