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2021.07.19

特許第1部:高橋 卓也

【特許・意匠ニュース】欧州統一特許裁判所(UPC)アップデート、ドイツ連邦憲法裁判所が2度目の違憲申立を退ける

2021年7月9日、ドイツ連邦憲法裁判所は、UPC協定批准のための国内法(UPC協定承認法)に対する違憲申立の根拠が不十分であることを理由に、同法に対する仮差止命令を求める仮処分申請を却下したと発表しました。却下命令は2021年6月23日に下されています。今回の違憲申立は、2020年3月に下された違憲判決を受けて議会が新たに成立させたUPC協定承認法に対するもので、2度目の違憲申立でした。

ドイツ連邦憲法裁判所プレスリリース
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2021/bvg21-057.html

ドイツでの違憲申立が実質的に退けられたことで、UPC実現に向けた準備再開の期待が高まっています。UPC準備委員会のRamsey委員長は、欧州の特許情報誌JUVE Patentによるインタビューに対し、「すべてが円滑に進めば2022年末、または2023年初めにUPCを開始できる可能性がある」とコメントしています。

JUVE Patent(2021年7月9日付記事)
https://www.juve-patent.com/news-and-stories/legal-commentary/upc-dream-gets-closer-after-german-court-rejects-constitutional-complaints/

一方、UPCの実現には、いくつかの課題がまだ残っています。その一つは、EUを離脱した英国のロンドンに設置される予定であった裁判所の扱いです。英国は、EU離脱に伴い、2020年7月20日にUPC協定批准を正式撤回しています。

弊社では引き続きUPC関連の情報をモニタリングしてまいります。

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