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2016.11.21

【中国視察2016】 [4] 北京市中信公証処 (公証役場)

NGBは、日本企業様10社のご参加を得て、9月18日 (日) – 23日 (金) の日程にて中国視察ツアーを催行した。 本稿では、視察先の一つである北京市中信公証処の訪問記録をご紹介する。

北京市中信公証処は、ここ数年間の中国視察ツアーにおいて定番の訪問先である。今回は同役場から唐骞公証員、朱亚琦公証員に出席いただき、公証サービスの実務レベルでの説明ならびに視察団との議論を行った。あわせて、China-IPPublication.netサービス提供で協力関係のある崔暁光弁護士にも同席をいただき、的確な助言をいただきながら意見交換が行われた。

本稿では役場と視察団との質疑応答のやり取りの一部を取り上げ、同役場への訪問報告とする。

Q.中国で委任状を提出する際に領事認証が必要であり、準備が煩雑である。諸外国ではアポスティール(条約により外務省で済む、領事認証不要)のように、中国内で領事認証を不要とする動きはあるか?
A.私はわからない。外務省に確認してみないと、条約に入る動きがあるか否かも含めて、わからない。(崔弁護士コメント)
領事認証は国家主権の問題であり、領事認証しなくてよいとは、簡単にはいえない。外務省が決めることである。

Q.公証する書類を中国語に翻訳する必要があるか?
A.どこまで公証して欲しいのかによる。サインのみであるのならば、日本語でもよい。内容まで見て欲しいのであれば内容について中国語へ翻訳しもらう必要がある。内容に反共産的・反社会的な文言が入っていなければ翻訳の必要はない。

Q.中国でのタイムスタンプの利用状況および証拠としての信憑性について教えて欲しい。
A.その都度、ソフトで日付をつけるタイムスタンプサービスは中国においても提供されているが、公証文書としては不十分である。証拠として提出することはできるが、相手から異議申し立てをうければ、自分自身で証明する必要がある。結局は公証処に持っていかなければならい。(崔弁護士コメント)
公証処は国家機関であるが、タイムスタンプは一会社が開発したものである。証拠としての信憑性は明らかに異なる。タイムスタンプを開発したところが、そのタイムスタンプが有効であるという点について公証を受けているかもしれないが、法廷では一般証拠としてしか認められない。信憑性・事実関係を証明しなければならない。一方、公証済みの証拠についての証明は不要であり、公正な事実として認められる。

Q.見本市で侵害品を発見した場合に、迅速に公証手続き対応してもらえるか。
A,事前にできることならば3~4日前に予約をして欲しい。スケジュールが詰まっているので、事前予約をして欲しい。突発的な場合は個別に相談して欲しい。事前予約をしてもらえれば合法的に問題がなければどこへでも出向く。

Q.訴訟においては公証されている証拠は基本的に真として証拠採用される。公証を悪用されるリスクは高いのではないかと推察するが、この点はどう考えてよいか。
例として商標で不使用取消し審判制度があれ、相手が不使用に対する反証として使用証拠を提出するが、この使用証拠が公証されている。実際には物は販売していないが、1個だけ見本として作っておいて1個だけを公証しておき、使用証拠として提出してくるケースがある。
A.心配の必要はないと思う。使用の公証は実際に公証人が一緒にマーケットに出向いて、購入し、使用の証明を行う。単純に持ってくるだけでは、使用している証拠としては公証しない。

ここ最近、中国における公証に関わる実情や当社が紹介をしているChina-IPPublication.netに関わる問い合わせを多くいただくようになり、日本企業の皆様の公証手続きに関する関心度が高くなっていることが伺える。本サービスにご興味のあるある皆様におかれてはお気軽に当社の営業推進部へご相談願いたい。

(営業推進部 山本)

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